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物流過程においては、製品や食品の品質管理という観点から温度管理が非常に重要といえます。こちらの記事では、物流倉庫における温度管理の種類に加えて、管理の重要性についてまとめました。
物流過程の品質管理で用いられている「5温度帯」とは、品質を維持するために必要となる温度管理の温度帯を5つに分類したものです。
それぞれの事業所によって基準は異なっていますが、倉庫業法施行事例の「基準保管温度」をもとにして分類したものが「定温」「冷蔵」「チルド」「冷凍」「超低温」の5つとなっています。各温度帯における保管温度と代表的な食品は下記の通りとなっています。
温度帯 | 保管温度 | 代表的な食品 |
---|---|---|
定温 | 5〜18℃ | 米、穀類、チョコレート菓子など |
冷蔵 | -18〜10℃ | 精肉、生魚介類、乳製品など |
チルド | -5〜5℃ | 冷凍食品のうち、厳格な温度管理が必要な食品 |
冷凍 | -18℃以下 | 畜肉、魚介類、冷凍食品、アイスクリームなど |
超低温 | -40℃以下 | マグロなど |
倉庫の種類 | 温度帯 | 適した製品 |
---|---|---|
常温倉庫 | 外気温と同じ | 温度変化に強く、外気温の変化に影響されない製品 |
定温倉庫 | 10〜20℃ | 温度変化に弱い貨物、カビ・結露の発生を避けたい製品 |
冷蔵倉庫 | 10℃以下 | 鮮度の管理が必要な食品 |
冷凍倉庫 | -20℃以下 | 冷凍状態で流通・販売する食品 |
まず「常温倉庫」ですが、この倉庫は特別な温度管理の設備を必要としません。このことから、設置コストを抑えられますが倉庫内の温度は外の温度と変わりなく、夏は暑く冬は寒い倉庫といえます。海の近くは湿気や潮風の影響を受けやすいといったように立地による影響を受けやすい倉庫です。
2つ目の「定温倉庫」の保管温度帯は10〜20℃となっており、それぞれの貨物に合った状態で保管ができます。この倉庫では、温度変化に弱い製品や、もし結露が起きた場合には故障するリスクがある製品を保管するのに向いています。
3つ目の「冷蔵倉庫」の保管温度帯は-20〜10℃です。この冷蔵倉庫には、冷凍に適さない食品が主に保管されています。ただし食品ごとに適した温度が異なるため、それぞれに対応できるようにさらに細かく分類が行われています。
4つ目の「冷凍倉庫」は保管温度帯が-20℃以下であり、長期保存が必要な食品や鮮度が重視される食品など が保管されています。
食品の場合、鮮度を保つためにも温度管理は非常に重要な要素であるといえます。不適切な温度管理を行った場合、食品が劣化することによって食中毒につながる可能性も考えられます。そのため、適切な温度管理は鮮度を維持することに加えて、衛生面においても大切です。
さらに食品衛生法が改正され、2022年6月1日からHACCP(食品製造から出荷に至るまでの前工程を管理する衛生管理の手法)に基づいた衛生管理が制度化された、という背景もあります。物流業者はこちらの制度の対象ではありませんが、食品を扱うにあたっては温度管理が重要であることから、同じような対応が必要と考えられます。
品質管理の観点から、医薬品は温度管理が非常に重要です。中には不適切な温度の中で保管していると品質低下を招いてしまうことでその医薬品が持つ本来の効果が得られないケースや、人体に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
この点から、医薬品における保管・輸送時にはGDP(医薬品の適正流通)に基づく温度管理が求められます。ちなみに、日本薬局法では医薬品を保管する際の温度について、具体的な数値を記載することを原則的に定めています(5つの温度帯を用いることも可能)。
精密機械を保管する場合、例えば温度が低すぎると静電気が発生しやすくなります。この点から電子回路の破損につながってしまうケースがあります。さらに錆びやすい金属製品が多く使われている点も精密機械の特徴であることから、温度や湿度の管理が不十分に行われていない場合にはサビやカビが発生し、故障につながる可能性もあります。
この点から、精密機械は高温多湿を避ける必要があるといえるため、輸送や保管を行う場合には温度と湿度の管理が求められます。
こちらの記事では、さまざまな製品や食品を保管する際の温度管理について紹介してきました。輸送時・保管時の温度管理は品質を保つためにも非常に重要な要素であるといえます。輸送会社を選択する場合には、温度管理をしっかりと行っている業者を選択するようにしましょう。
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